
「自分を生ききる」 (日本のがん治療と死生観)
中川恵一×養老孟司 小学館刊 1400円
の紹介です
中川恵一氏は東京大学医学部付属病院緩和ケア診療部長
増え続ける日本のがん患者、そのがん治療の在り方を
緩和ケアの目線で、日本の治療の在り方を問われています
この本の根底には、「人間の死亡率100%」
ひとはいつか必ず死ぬという、事実を認識するところにあります
不治の病ではなくなった「がん」
しかし、がんの死亡率は年々増加している
今では、国民の2人に1人ががんに罹り3人に1人が死亡して
5年後には3人に2人ががんに罹り2人に1人ががんで死亡する
と予測されている
そして諸外国と比べると日本はがん患者が増加している
そういった話から始まり、日本の医療現場の現実を浮き彫りにしていく
日本の医療は5年間生存率の向上に傾注しており
治療を施すことができない方々に対する
がん難民といわれる方に対してのケアができていない・・と進む
乳がんを30歳代で発症し、抗がん剤治療等による延命治療によって
延命できる期間とそこに払う代償・・治療費、副作用等・・とを比較し
延命治療を断り、自分の命と向き合って
余命の人生を、ある意味において充実したものにした女性の話など
人は何時か必ず死ぬ・・といった自明の理を認識しなおすことで
がんに立ち向かう気持ちも変わって来る
中川氏は「同じ死ぬならがんで死にたい」と結ばれる
交通事故や脳梗塞、くも膜下などで急死すると
身の回りの整理もつかないし、家族との別れもない
しかし、がんは急死することはなく、数カ月から数年間は生きている
しかも、その大半は普通に生活できるわけだから
残したくないものの破棄もできる・・と
そこまでの達観はできないにせよ、一理あるなと感じます
